No.0001:株式会社ユハク様

株式会社ユハクが「親指でんき」に切替えた理由と仕事への思い

 

 

 

「YUHAKU」株式会社ユハク

代表である“仲垣友博”の名前から、’友博’を音読みに変化させた呼び名’ユウハク’、それをアルファベットに置き換えた『YUHAKU』から名付けられた。(仲垣様が元々絵描きを目指しており、その際に用いていた雅号でもある。)

2006年4月、ビスポークの靴、鞄、革小物、ベルトを製作する工房「ameno spazio (アメノスパッツィオ)」を開設。3年後の2009年7月、現在の株式会社ユハクに改組し『YUHAKU』をリリースするに至る。

 

-そもそも「親指でんき」に切り替えた理由は何だったのでしょうか?

仲垣様 やはり繋がりがある人から(仲垣様と弊社代表がお知り合い)というのが一番の理由です。同じお金を支払うのであれば大切にしてくれている人にお支払いしたい。他の会社の方を知らないので。

 

-誠に有難うございます!電気料金がお安くなりますので楽しみにしていてください!

 

「YUHAKU」について、質問させてください。

-凄いこだわりを感じますが「YUHAKU」とはどのようなブランドですか?

仲垣様 「YUHAKU」とは色の美しさから人々の心を豊かにするブランドであると考えています。
革のブランドだとは思っていません。

 

 

-革と向き合う時の思いについてお聞かせください。

仲垣様 絵の場合は相手がキャンバス。同じ製品であれば同じように色が反応しますよね?ただ、革は生き物。個々に違いがあり、対話をしながら染めていかないとキレイに染まらないんです。同じように染めていても全然違う。1枚の絵を描くような感覚で、モノを作るというより描くイメージ。一般的に言う職人というよりアーティストがやっている感じです。

「YUHAKU」の一番の強みは【色】なので、革製品についてはこれからも一人一人の個性を活かして、よりアート路線に走った商品を出していきたいと思っています。

-今の工程に行きつくまでは紆余曲折があったのでしょうか?

仲垣様 うーん。少しずつマイナーチェンジ、という感じですね。一番最初の時と比べると工程数はだいぶ増えていると思います。一年スパンぐらいで工程は変わっていきますね。それが失敗することもあります…。もちろん仕上がりの問題ではなく、「失敗=生産性」の問題なんです。どうしても、一つ一つが手作業なので、出来る限り供給を増やそうと考えている中で想定以上に時間が掛かってしまったり…。今でも品質を落とさずに時間の短縮をする事が一番の課題です。

 

 

-かなり強いこだわりをお持ちとの事ですが、面白いエピソードはありますか?(笑)

仲垣様 傘や目覚まし時計とかですかね。(笑) 小学生時代に親が勝手に買ってきたものが全然気に入らなくて…。壊しましたね…。今思えば凄く申し訳ないと思ています。(笑) とにかく、自分で決めたものでないと嫌なんです。極端に言うと自分が気に入る物が見つからなければその物自体がいらないぐらいです。今はある程度薄れていると思いますが、まだ周りからは言われています。(笑) あとは、気に入ったものしか身に着けたくないので、気に入った服や帽子は2着は持っています。よく勘違いされますが、決して毎日同じ服を着ているわけではありません。(笑) 高校生時代から市販で買った服を自分で裁縫をしてアレンジしてしまうぐらいこだわりは持っています。

あとは…色々とやんちゃをしてきましたので話せない内容が多いです。勘弁してください…。(笑)

-仕事に向き合う考え方を教えてください。「遊び心」もどこかにあるのでしょうか?

仲垣様 そうですね。半分は遊び心もあります。キレイに色を着けようというより、楽しんで色を着けよう。という感じです。でも、やはりビジネスの面もあるので、大量生産をしなければいけない時は少し苦に思うことはあります。産み出すことは大好きなのですが、同じことの繰り返しになると…。

ただ、辞めようと思ったことはありません。以前に別の業界で出会った方から「君も他の人には出来ない仕事をやっているでしょ?それなら辞めてはダメだよ。今まで買ってくれた人を裏切ることになるから。一度始めたらどんな事があっても続けなければいけないよ」という言葉がきっかけになっています。

モノづくりの業界では“自分を出したい”という人も多くいます。そうではなく、決して自己満足にならないよう、使用してくれる人がいて初めて成り立つものだと思っています。とにかく、私たちは使用してもらうお客様はもちろん、職場のみんなやメーカーさんなど「YUHAKU」に関係する皆さんの立場に立って全てのことを考えるようにしています。

 

 

-他のブランドとの違いは?

仲垣様 色に関してはもちろんですが、特に「色直しが出来る」点が強みですね。他のメーカーさんは買ってきた革を加工するので、その革に関して何か起きた場合に対処が難しいのですが「YUHAKU」は革から作っているので何か問題が起きてもそれに対して磨き直し等の対応が可能なんです。結構ボロボロになったものを相当キレイに出来るので、皆さん驚かれています。この点は自信を持っています!

-独立するにあたって心配はありましたか?

仲垣様 もちろん心配はありましたし、失敗もたくさんありました。ただ、失敗が成長に繋がっていると思っていますし、それがあったから今の色が出せるようになったと思っています。もともと最初から独立願望が強かったわけではなく、趣味を追及していく中で「自分自身の創ったものを誰かが使ってくれたら良いな」と思っていたんです。もちろんビジネスを始めるにあたってはビジョンをしっかり持たなければいけないと思い、最初はオーダーから始めて3年間は修行だと思い自分自身で作り続けて経験を積み、その後にブランドとして確立していけるような動きを考えていました。なかなか思ったようには行かない部分もありましたが、何とか強行しました。(笑) 独立当初はアルバイトを掛け持ちながら1日3時間睡眠ぐらいでした…。それでもとにかく「やらなければ!」と思っていました。

 

 

-仲垣様にとって「色とは?」

仲垣様 デザインは人によって好き嫌いが分かれます。ただ、すごく美しい色はどんな人が見ても美しいと感じると思うんです。色は人を惹きこむものだと考えています。なので、デザインを一度捨てて、色で考えようと。色で人の心を掴めるようなものを作りたいと思っています。色の表現も単色ではなかなか人の心は動かないんです。その中にグラデーション、色の深みであったり濃淡があることが人の心を揺さぶるんです。なので、「YUHAKU」ではグラデーションを色の中に取り込んでいます。人間も音楽も食も強弱がないと。と、思います!

 

-仲垣様、貴重なお時間を誠に有難うございました!

 

編集後記

仲垣様は、実際に革の生産地へ出向き、どの命を頂いているのかという所まで確認し、仕事をされているとの事。全てにおいて感謝されて仕事に取り組む姿勢に感銘をうけました。今後自分自身、お客様や自分に関わる人への接し方を改めようと思います。